100日後に◯◯になる当麻:1日目

デートで立ち寄った文具雑貨店で鍵付きの日記帳を見ていたら、螺呪羅が買ってくれた。
日記なんて書いたことがないけど、螺呪羅に教えてもらったことを毎日書けば見てくれるっていうから、交換日記のつもりで色々書くね。
買って欲しくて見ていたわけじゃあなくて、南京錠がついた日記帳なんて実在するんだなあって思って見ていただけなんだけど、変な出費させて申し訳ないことしちゃったな。

今日は放課後に待ち合わせをして駅の近くでデートでした。
書店と文具店に寄った後ご飯を食べて帰宅。螺呪羅がおすすめだっていう中華料理店、あんなところにお店があるって全然知らなかったけど、とってもおいしかった。

螺呪羅のお部屋でキスをした。ゆっくり時間をかけて大人のキスを習った

駅での待ち合わせは少しドキドキする。
うちは学校から近いので同じ制服を着た生徒がたくさん歩いているし、中には名前はわからないまでも顔馴染みもたくさんいるので、羽柴が改札前に人待ち顔で立ってたなんて言われたら嫌だなあ……なんて考えてしまう。
螺呪羅に聞かれたら、『お前が思うほど他人はお主のことを気にかけてはおらんものよ。人に注目されていると感じるのはお前の自意識過剰だ』なんて笑われてしまうだろう。
本当にその通り、俺は彼らの名前も知らないのだから、向こうだってこちらを顔見知りの同級生と認識はしていても個体識別まではしていないのだろうから、いつどこで何をしていたかなんかいちいち記憶に留めたりはしないのだ。

約束の時間から少しだけ遅れてきた螺呪羅と行った駅前の大型書店には、発売を待ちかねていたミステリの新刊が平積みになっていたので、それを買う。それから、夏休みの課題のための資料本を一冊。

「そのミステリは作者買いか?」
「そうだよぉ。そう言えば話したことなかったっけ?デビューした頃から好きなんだけどここのところ何年も刊行がなくて、久しぶりの新刊なんだよ」
「確か……デビューは五年ほども前ではないか?小学生が殺人事件本を喜んで読むのはあまり感心せんなあ」
「えぇ、怪人二十面相とか児童書版もあるじゃない。子供だってミステリは好きだよ」
「殺伐とした話を好むのは生い立ちゆえのヘキではなく幼い頃からの性質タチということか……まったく、将来有望だな」
「将来有望……?日本語間違ってない?」
「いいや?文科省推薦図書しか読まぬような優等生よりもミステリを好んで読む中学生の方が儂好みだという意味だ」
「そっか!」
その本もまとめて会計するからとぴょいと手から取り上げられて、されるまま本を買ってもらってから細い路地を通って表通りから離れ、準備中の看板が出ている呑み屋やケバケバしい看板の出されたホテル街の中にある雑居ビルの二階へと手を引かれて登る。

近づいてみたことすらない裏通りにあったその店は当然ながら存在すら知らなかったが、家庭的な雰囲気を売りにしているらしい中華料理店で、場所柄おそらく本格的な営業時間は夜で今はランチとの合間なのだろう。
この時間には通りをうろうろする人も少ないのか、20席ほどの店内には他に客の姿はなかった。
明らかに日本語ではない強い訛りの女将さんに慣れた様子で挨拶をした螺呪羅に連れられて店の奥のボックス席に座って、お勧めだという炒飯と鉄鍋麻婆豆腐と餃子を堪能した。
女将さんに食べっぷりを褒められて、お土産にと唐揚げと紙パック入りの杏仁豆腐をもらってしまった。夜食にしよう。

それから家に帰って、螺呪羅の部屋で初めてキスをした。
中華料理を食べた後でニンニクも入ってたので恥ずかしいと思ったけど、同じものを食べた後だから気にするなと言われてみれば確かにその通りだった。
唇を合わせるだけじゃなくて、螺呪羅の舌が口の中に入ってきて俺の口の中をなぞるのが気持ちいいことを教えてもらったし、舌を絡め合わせたり、俺の舌で螺呪羅の口の中を探ることも教えてもらった。
くすぐったいような甘く痺れる感覚に夢中になって、ずいぶん長い間キスをしていた。
明日からは、人の見ていない場所ではこうやってたくさんキスをしようって約束をした。
それはとっても嬉しいことで、気持ちよくて、嬉しい約束だな。

明日の待ち合わせの約束をしてからお隣の自分の部屋に戻った。
もらった唐揚げの夜食もあるし今夜は試験に向けて勉強に励もうと思うけど、胸がドキドキして頭がぽやぽやするのであんまり捗らないかもしれない。

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